★第2話
「ビフテキにはトイレを」
 栗山家は二階に間借りすることになった十一の話でもちきり。家事をとりしきる二女の夏代をはじ
め、三女・秋枝、四女・冬子は、“なにも息子つきの家を買うことはなかった、親子水入らずで暮ら
したい”と父親の信(大坂志郎)をせめ、あくまで十一の同居に反対する。ことに、夏代は、五十万
円を出すからどこかへ引っ越してほしいと十一に迫るほど。しかし、そんなことで簡単に引きさがる
十一ではない。意地でもこの家に居座って彼女たちと対決する構えだ。そこで、夏代たちは十一のい
びり出し作戦を開始。夕食に特大のビフテキを並べ、十一の目の前であてつけがましく食べたのであ
る。外食でひもじい思いをしている十一にとって、臭いをかぐのさえつらいこと。そんな十一をなに
かと、なぐさめるのは、末っ子の阿万里だった。まだ小学生で、姉たちとは年がかけ離れているせい
か、いつもひとりぽっち。さびしい思いをしていたのである。十一は、小さな味方だが心強い思いだ
った。ところが、その夜、またひとり十一に敵がふえた。看護婦で寮住いをしている長女の春子が、
家にもどると宣言したのだ。“あのおかしな男から妹たちを守るのは長女の責任だ”というわけであ
る。十一は頭をかかえた。今回は、闖入者十一のいびり出し作戦を開始する栗山家の姉妹と、末っ子
の阿万里を味方に得て、必死に対抗する十一の姿を、おもしろおかしく描いていく。