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★第3話 |
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「生けにえの引越し」 |
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十一が助手をしている山岳写真家の稲葉勇作が、借金とりに追いまわされて困つていたどうやら、 |
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個展を開いた時の費用三十万円ばかりが支払えないらしい。稲葉は、腕もよく名も売れているが、 |
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ヌードばやりの昨今、作品はさっぱり売れず、無一文同然だった。そのくせ、十一がヌードを撮るよ |
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うに勧めても、こそこそ山へ出かけてしまうほど商買気がないのである。十一とてその日暮らしの |
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身。考えたあげく、十一は、外国へ行った両親が残してくれた家財道具を売り、金を二面した。とこ |
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ろが稲葉は、こともあろうに、その金を借金返済にあてず、山へ行く費用にしてしまったのである。 |
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十−は、稲葉の助手を辞めようとまで思いつめた。 そんなある日、栗山家の長女・春子(冨士真奈 |
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美)が、いままで住んでいた看護婦寮から引越して来た。父親の信や二女の夏代、三女の秋枝たちは |
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荷物運びに大わらわ。なにせ中年を過ぎた信と娘たちの力では引越しもまならない。おまけに信が腰 |
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を痛めて寝こんでしまったから大変。娘たちは下宿人の十一に応援を頼んだ。しかし、いつもじゃ者 |
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扱いされていびられている十一、仕返しはこの時とばかり、冷たく断った。娘たちはますます十一に |
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反感を抱いた・・・・・・。 |
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