★第4回
「マダム事始め」
 末っ子の阿万里が、深夜寝ぼけて十一の部屋に迷い込んだ。十一は、隣の阿万里の部屋に運びベッ
ドに寝かしつけてやったが、たまたま同室の四女・冬子が目をさまし、十一を痴漢と誤解したことか
ら大騒動。大声にかけつけた二女の夏代などは、十一に日本刀をつきつけおどすしまつ。親切があだ
となり、十一はくさってしまう。 翌朝、栗山家は、喫茶店“シヤングリラ”のママになった三女の
秋枝の話でもちきり。まるで昨夜の出来事など忘れたかのようだ。秋枝は宝石のセールスをしていた
が、その腕をなじみの客でもあるシャングリラのオーナーに買われ、ママに抜てきされたのである。
きょうは店に出る初日とあって、一家は夕方“シャングリラ”に集まる相談をしていた。ところが、
姉妹の父親・信の身に大変なことが起こつた。外国に赴任した十一の父親から安く譲ってもらった屋
敷の件であらぬ疑いをかけられたのである。たかが部長で時価五・六千万円もする土地付きの家を買
えるわけがない、会社の金を使い込んだのではないか、というのだ。探偵社の調査員が十一のところ
に現われ、信の身辺を洗うにいたって、ただひたすら会社のために働いてきた信のショックは大きく
なるばかり。見かねた十一は、信の疑惑をはらそうと決意する。 そのころ、夏代や冬子らは“シャ
ングリラ”で祝福をあげていた・・・。