★第8回
「親父だけが知つている」
 栗山家の末っ子・阿万里が、小学校からの帰途、見知らぬ中年男に話しかけられた。何事もなく寮へ
帰って来たものの、話を聞いた姉の夏代たちは、すわ誘拐魔か、と大騒ぎ。警察や学校に知らせるべき
だと父親・信に主張した。だが、信は、顔を真っ青にして“このことは口外してはならない”というの
だ。阿万里のこととなるとすぐ夢中になる父が、なぜ手を打たないのか、夏代は不安にかられた。一方、
高利貸しから金を借りて、ようやく信金の形にとられていたカメラ機材をとりもどした十一は、さっそく
仕事をはじめようとした。しかし、肝心の勇作先生がカメラを持とうとしない。勇作は夏代に恋をして、
仕事も手につかなかったのである。そこで十一は、夏代が阿万里を学校へ送り迎えすると知り、翌日、
学校の前で待ちぶせて勇作に会わせることにした。ところが、とんだじゃま者が入った。昨日、阿万里
に話しかけた男が、きょうも正門で待っていたのである。阿万里からそのことを聞いた十−は、男を追
いかけ喫茶店に連れ込んだ。そして、その男・小寺から意外な事実を聞きだした。それは、阿万里の出
生の秘密であった・・・・・。