★第12回
「すり変った見合写真」
 栗山家の二女・夏代はすでに二十六歳、結婚適齢期を逸しつつある。一家の母親がわりとして家事
に専念しているせいか恋人もできず、近ごろいささか沈みがちだ。 そんな夏代の胸中を察した三女
の秋枝は、友人から紹介された新進画家の坪井と見合いをさせようとした。幸い、坪井の写真を見せ
られた夏代はまんざらでもない様子。そこで秋枝は、坪井にも夏代の写真を送る手はずをととのえ
た。美人の夏代を坪井が気に入らないはずはない、と秋枝は確信していたのである。 一方、夏代の
見合い話を阿万里から聞いた十一は大あわて。師匠の勇作がかねてから夏代にぞっこんで、仲をとり
もつように頼まれていたからだ。夏代を他の男性にとられでもしたら勇作にあわせる顔がない、と思
つた十一は、秋枝が用意した夏代の写真を、他の女性の写真とスリ替えてしまった。その写真の女性
があまりにも不美人だったことから、十一の思惑通り、縁談は簡単にこわれてしまったのである。と
ころが、これが夏代にバレてしまったから大変。今夜は、夏代の見合い騒動をコミカルに描く。