★第14回
「失礼しました!」
 大みそかの忙しいさなか、十一が熱を出して寝こんでしまった。留守中の勇作先生の仕事を引き受
ける一方、借金返済のためにかけずりまわり、心身ともに疲れ果てたうえにカゼをひいたのである。
夏代たち姉妹は日ごろの意地悪もどこへやら、十一の看病に大わらわ。 そこへ週刊誌の編集長・神
谷が来て、気前よく数十万円都合してくれた。栗山姉妹や神谷の親切にふれて十一は胸があつくなる
思いだった。この金で一刻も早く、借金を返さなければならない。十一は、病をおして返済にかけま
わり、最後に勇作が借金したチリ紙交換屋の武田を訪ねた。武田は、妻に逃げられ、一人息子をかか
えて病床に伏していた。同情した十一は、少しでも生活のたしになるならとチリ紙交換の仕事をひき
うけ、町内をまわって金を作ってやった。 ところが、それがこうじたのか病が悪化、救急車で病院
に運ばれるはめになった。幸い、病気は軽く、夏代たちは一安心。翌元旦、夏代たち姉妹は、美しい
和服姿でおせち料理を持つて十一を病室に見舞った‥…。
 今夜は、無理がたたって大みそかに熱を出してしまい、とんだ正月を迎えるはめになった十一を中
心に描く。