★第15回
「今年はライオンどし?」
 正月気分に酔いしれる栗山家に初老の獅子舞いがやって来た。その獅子舞いは、三女の秋枝が、今
朝初詣に行く途中、チンピラにからまれているところを助けてやった民造だった。彼はお礼にとみご
とな獅子舞いを披露。 ところがなんとその最中、民造は脳卒中で倒れてしまったのだ。夏代たちは
大あわて、部屋に寝かしつけ救急車を呼んだが、救急隊にこのまま病院へ運んだら生命が危ないとい
われ、しばらく民造をあずかることにした。 一方、懐がさびしくてちっともめでたい気分になれな
いでいた十一、民造の病気をいいことに獅子舞いの衣装を拝借、珍妙な踊りで近所をまわり、祝儀を
ガッポリもうけた。しかし、それもつかの間、同業者に見つかり、なぐられたあげく全額とりあげら
れてガックリ。 翌朝、夏代の看病のかいあって、民造はすっかり元気をとりもどしたが、彼はてつ
きり秋枝が世話してくれたものと思いこみ、秋枝に一人患子の嫁にならないかともちかけた。