★第18回
「さよなら、先生!」
 勇作と助手の十一が、記録写真担当としてカラコラム学術調査団のメンバーに正式に決定した。二
人は大喜び。一年近くも現地に滞在するとあって、毎日準備に大わらわだ。 一方、栗山家の長女・
春子や三女・秋枝たちは、これを機会に十一を追い出そうとやっきになった。十一にひそかに好意を
抱いている二女の夏代もそのいきおいに押されて、仕方なく賛同。十一はいやがおうにも栗山家から
追い出されるはめになった。 この険悪な事態に姉妹の父親・信は胸を痛めた。会えばケンカぱかり
しているが、夏代と十一が愛しあっていることを知っていたからである。信は、カラコラムヘ行く前
に、なんとか二人の仲をまとめてやりたいと思い、勇作に相談をもちかけた。かねてから夏代を好き
だった勇作はショックを受けたが、二人のために、十一のカラコラム行きを断ったのである。そんな
こととは知らない十一は、勇作をうらんだが。